天涯の砦

今回は同じく事故に見舞われた宇宙ホテルを舞台としたSF小説、「天涯の砦」を紹介したいと思います。 物語の舞台は宇宙ステーション「望天」。最新の宇宙ホテルとして盛況な宇宙ステーションですが、破滅的な事故が発生、ばらばらに分解し宇宙を漂流することになります。分解したほとんどの区画が空気が抜ける中、奇跡的に空気が残った区画がありました。そこにいたのは技術者の男性、成金の一人娘、天才少年、素性の分からない医者など一癖も二癖もある人物たちでした。 奇跡的に生き残ったとはいえ、空気が残っているのはそれぞれがいた部屋の中のみ。廊下といった広い共有区画は完全に真空になっており、それぞれは換気口を通して会話することしかできません。そんな中で彼らはどうにか協力し、次第に減速を始める宇宙ステーションの残骸の中で生き残りを図ることになります。 さて、パニックものの作品は映像作品をはじめとして多くありますが、(正直あまり詳しくないですすみません)宇宙を舞台としたものはあまり多くありません(まあ予算の問題とかいろいろ理由がある気はしますが)そんな中、この作品は宇宙ステーションの事故から始まるパニックものをしっかりしたリアリティで描いてくれます。 読んだのはだいぶ前なので今読み返せば結構粗が見つかるかもしれないのですが、壁一枚を隔てた先に真空が広がる極限環境で追い詰められていく人々を描いた作品として、ぜひ読んでもらいたい1作です。

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