星系出雲の兵站

今回は林譲治のミリタリーSFシリーズ、「星系出雲の兵站」を紹介したいと思います。 舞台は地球からの播種船によって植民されたと伝わる出雲星系と、その後に植民された壱岐、八島、周防、瑞穂の計5つの星系からなる五星系文明です。地球人類が異星人の脅威に曝され植民を行ったと伝わっており、異星人の侵略への強迫観念をもっていますが、植民から数千年がたった今、本当に異星人がいるのか懐疑的になっています。 そんな中、壱岐星系で異星人の設置した人工衛星が発見されたところから物語は始まります。 そして人類は異星人ガイナスと遭遇し、ついに異星人の侵略が現実のものとなります。なし崩し的に戦端は開かれ、壱岐星系外縁を舞台としてガイナスとの戦争が始まるわけですが、人類も一枚岩ではありません。戦場となる壱岐星系は辺境ながらも開発独裁体制を敷くことで着々と力を高めていますが、五星系文明の起源であり最大の戦力を持つ出雲星系の介入は着々と軋轢を生みだしていきます。 敵であるガイナスについても、意思の疎通はできず、正体が不明なまま戦争に突入することになり、翻弄されていきます。 唯一で出てくる超光速航法以外は現在の物理法則に則て描かれており、また巨大な組織内部のや組織同士の争いも描かれますが、それぞれの信念や正義がしっかりと描かれるので醜い覇権争いにはならないのも魅力です。 現在第一部が全4巻、第2部となる星系出雲の兵站―遠征―が第3巻まで発売されています。 5/26に最新刊星系出雲の兵站―遠征―4巻が発売されます。僕はAmazonで予約したので楽しみに待っているところです。皆さんも新刊発売のこの期に読み始めてみてはいかがでしょうか。 www.hayakawa-online.co.jp

追記 この紹介を書いたのは2020年5月でしたが、すでに本シリーズは星系出雲の兵站-遠征-5で完結しています。 ガイナスとは何者なのか、なぜ人類を襲うのか、人類は未知の文明とどのように接するのか、それぞれにしっかりと答えと問いかけが用意されています。