プロジェクト・ヘイル・メアリー

お久しぶりです。 今回は「火星の人」(オデッセイというタイトルで映画化)、「アルテミス」の著者アンディ・ウィアーの最新作、「プロジェクト・ヘイル・メアリー」を紹介しようと思います。 主人公はある日、すべての記憶を失ってベッドの上で目を覚まします。そばには自分の世話をするロボットアーム。名前すら思い出せない彼は昏睡から目覚めたばかりでいうことを聞かない体のリハビリをしながら少しずつ記憶を取り戻していきます。 さて、この話は主人公が次第に記憶を取り戻していくことが面白さに直結していくので、これ以上の紹介をするとネタバレになってしまうのですが、しいて言うなら題名にある「兵ル・メアリー」とはアメリカンフットボールで試合の終盤、負けているチームが一か八かの逆転を行うプレイのことを指すそうです(初めて知った)。「一か八かの賭け」という名を持ったプロジェクトとは何なのか、いったい何に負けようとしているのか、何をすれば一発逆転ができるのか、それを主人公グレース(まあ名前くらい言ってもいいでしょう)とともに解き明かしていくのが本作の魅力です。 オデッセイとして映画化された火星の人では、主人公に襲い掛かる苦難を科学知識を駆使して解決していくことを物語としてとても面白く語っていました。今回はさらに謎解きが加わり、観察し、仮説を立て、実験により証明する、という科学の面白さを面白い物語としてしっかりまとめ上げています。 上下巻に分かれてはいますがユーモアがあってそこまで厚くもないので読みやすく、こちらでプロローグを読むことができますので、年末の読書にいかがでしょうか。 www.hayakawabooks.com