アフター・ロンドン

今回はkindleで販売中の19世紀のポストアポカリプス小説、「アフター・ロンドン」を紹介したいと思います。 1886年に書かれた小説なのですでに著作権が切れてパブリック・ドメインになっており、そのため個人が翻訳し、kindleで出版しています。 物語の舞台は突如として大英帝国が滅亡してから数百年たったイギリス。 イギリス中心部にはレイクとだけ呼ばれる巨大な湖があり、ロンドンは瘴気に包まれた沼に覆いつくされていました。かつての技術や教養はほぼすべて失われ、レイク周辺に封建制を敷き腐敗の温床となった数多の小王国が乱立して同盟と戦争を繰り返しています。 そんな中、下級貴族の主人公フィリックスが名誉と成功を求め旅たつところから物語が始まります。 というか現在出版されている部分は主人公が出発する部分で終わります。翻訳者がほぼ趣味で一人で翻訳しているため、モチベーションの問題からこの部分でとりあえず出版することになったようです。 小説としてどうかといえば今回出版されている部分のほぼ前半すべてを文明滅亡からイギリスがどうなったかを描く設定説明に費やされており、フィリックスがやっと登場しても旅立つまでが結構遅いので現在出版されている部分ではなかなか評価しずらいです。 ただ、最初のあらすじ説明でしたように、今日ポストアポカリプスと呼ばれる文明が滅亡しかつての知識のほとんどを失いながら細々と暮らす世界を舞台にした作品群と同じような設定の話が19世紀に書かれている、ということ自体がかなり驚くべきことだと思います。荒廃した世界だと好き勝手に銃を撃ったりしてもあまり問題にならないのでゲームやアニメの設定に便利なのか、廃墟が好きなのは人の本能なのか、とにかく今日ではゲームやアニメでよく見かけるようになったポストアポカリプスものですが、人というのは科学技術が発達していくのを見るとその技術がすべて失われた荒廃した世界を想像したくなってしまうものなのかもしれません。 多分翻訳者の方は今も後編の翻訳を進めていると思うのですが、売り上げが増えるほどモチベーションも上がってペースも早くなると思うので皆さんぜひ前回紹介した鋼鉄の犬と合わせて買ってください。お願いします。 https://www.amazon.co.jp/gp/product/B08MYSTK96/ref=ppx_yo_dt_b_d_asin_title_o00?ie=UTF8&psc=1