クラーケン

今回はSFというよりかはファンタジー味の強い小説、「クラーケン」を紹介しようと思います。 ロンドンの自然史博物館でキュレーターを務めるビリー・ハロウはある日、大人気の展示物であるダイオウイカの標本が水槽ごと消えているのを目にします。いぶかしがるビリーの前に原理主義者及びセクト関連犯罪捜査班を名乗る刑事たちが接触してきます。そして彼は魔術と現代社会が奇怪に融合した裏世界に足を踏み入れることになります。 ロンドンのはらわた(文字通りの意味)を引きずり出して将来を占う占い師、タトゥーに魂を封印された男、無口な少年とよくしゃべる男の二人組の殺人鬼、拷問する相手を鉤十字にかけて殺しては復活させることを繰り返すカオス・ナチスなどなど奇怪な人々が真実を求め駆け回るビリーの前に現れます。 個人的に気に入っている能力者は終盤に出てくる瞬間移動の能力者です。あらゆる物体を分解し任意の場所に再出現できる能力を持っていますが、生命に対して使うと「一度殺して新しい全く同じ存在を生み出す」ということになる、ということに気付くことなく自分自身を何度も瞬間移動させたため、自分が瞬間移動したのと同じ回数分の自分の霊に憑りつかれています。 そしてビリーはクラーケン神教会、というカルト教団に保護され、終末を迎えるためのキーとしてダイオウイカを崇める教義を聞かされます。さらにいくつものカルト教団や魔術的なマフィアが現れる中、真の犯人が現れます。 ネタバレになるので控えますが、個人的にはこの犯人の科学と宗教のはざまの葛藤から生まれる犯行動機と目的が結構好きです。 Amazonレビューだと小難しいと書かれていますが、あらゆる魔術やオカルトやカルト宗教、コンピュータ仕掛けの魔術を使う魔術師から紀元前から続く魂の宿った人形までごった煮になったカオスなロンドンを駆け巡る物語を頭を空っぽにして純粋に楽しめばいいと思います。

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