火星無期懲役

今回は久しぶりの現実より宇宙SF,「火星無期懲役」を紹介しようと思います。 主人公フランクリン・キッドリッチは麻薬漬けの息子を救うために麻薬の売人を殺して収監された殺人犯で懲役120年を宣告されました(アメリカだと罪は加算方式で刑期が伸びていくので明らかに人生より長い懲役が普通にあります)。民営刑務所に収監された彼でしたが、NASAから火星探査基地建設を請け負ったゼノシステムオペレーションという会社からある取引を持ち掛けられます。それは火星基地を一種の民営刑務所とみなし、帰ってくる必要のない作業員として火星基地建設に従事する、というものでした。刑務所での生活に嫌気のさした彼は契約に同意し、火星へ向かうため、同じような取引をした様々な受刑者たちと訓練を受けることになります。 火星にたどり着いた彼らは早速想定外の事態に遭遇します。本来一カ所にまとまっているはずの物資コンテナが25km近く遠くに分散してしまっていたのです。 それをどうにか回収し基地建設を進めていく彼らですが、一人一人と受刑者たちが死んでいくにあたり不穏な雰囲気を帯びていきます。一つ一つは事故に見えなくもない状況ですが、どれも怪しい点があり、フランクは疑念を募らせていきます。 著者はもともと別名義で作家業をしていたのですが、「火星の人」、「オデッセイ」の流行を受けて出版社から似たの書いてと言われて書いたそうです。しかし十分にオリジナリティーのあるSFサスペンスに仕上がっていると思います。 ブラック企業の提供で送る火星の人、火星の人を読んで似ているけど雰囲気の違うものを読んでみたいと思ったらおすすめです。 https://www.hayakawa-online.co.jp/shopdetail/000000014189/www.hayakawa-online.co.jp