インテグラル・ツリー

今回は無重力世界を舞台にしたSF、ラリー・ニーヴンの「インテグラル・ツリー」を紹介しようと思います。 物語の舞台は中性子星レボイの周辺をトーラス上に回転する呼吸可能なガスの塊です。このトーラスの中心付近はガスの濃度が濃く、生命が生存可能ですが、軌道上を周回しているため常に自由落下状態であり、上下はありません。 大抵の動植物は空中に浮かんだ水滴の中で暮らしています。 そんな世界に存在する人類はかつてこの世界に植民したようですが、その記憶はとうに失われこの世界を故郷として暮らしています。 彼らが暮らしているのは100km近く伸びる巨大な植物、「インテグラル・ツリー」です。潮汐ロックによってこの植物は常に軌道と垂直に伸びており、軌道速度と実際の速度が違う樹の端では速度差からくる強風によって植物がたわみ、名前の由来となった積分記号(インテグラル)の形になります。 そんなインテグラル・ツリーの一つに住むクィン一族ですが、気候の変動により飢饉の危機が訪れます。新たな食糧を探すために旅立った主人公たちはやがて故郷の樹を離れこの世界の驚異に出会うことになります。 奇妙ながらも確かに科学に基づいた世界を旅できるというのはSFならではの体験だと思っているので是非読んでほしい一冊です。 https://www.amazon.co.jp/%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%86%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%83%84%E3%83%AA%E3%83%BC-%E3%83%8F%E3%83%A4%E3%82%AB%E3%83%AF%E6%96%87%E5%BA%ABSF-%E3%83%A9%E3%83%AA%E3%82%A4-%E3%83%8B%E3%83%BC%E3%83%B4%E3%83%B3/dp/4150106932www.amazon.co.jp