黒暗森林

この前紹介した「三体」の続編、「黒暗森林」をやっと読んだので今回はこれを紹介しようと思います。 前作「三体」で三体世界からの侵略に曝されることが分かった地球。三体世界からの侵略艦隊は4光年を400年かけて進んできます。しかし先んじて三体人が送り込んできた陽子に回路を組み込んだコンピュータ「智子」によって人類の行動はすべて筒抜けであり、また量子領域での実験結果を全て封じられ基礎科学の停滞を余儀なくされます。 黒暗森林上巻ではこの智子の監視に対抗するために始まった面壁者計画が描かれます。唯一智子が監視できないのは人間の思考ですが、複数人が集まって協議してしまうと情報が漏れてしまいます。そこで面壁者計画では全世界で4人に強大な権限を与え、4人の頭の中だけに作戦を封印することで智子を欺こうとします。世界的に有名な戦略家や科学者が選ばれる中、唯一無名であった羅輯は、なぜ自分が選ばれたのかを考えるうちにかつて三体危機を引き起こした人物である葉文潔に宇宙社会学の公理というものを聞かされたことを思い出します。 下巻では200年が経過した未来において、人口冬眠から目を覚ました羅輯達の物語が描かれます。目を覚ました彼らが見たのは発展を遂げ光速の15%近い速力を出せる宇宙戦艦を配備した人類たちでした。彼らは三体世界から先に送り込まれた探査機を回収するミッションを開始する直前でした。相変わらず基礎科学は封じられているものの宇宙艦隊を配備した人類は回収ミッションは極めて簡単なものだと考えていました… これまでのSF紹介ではやたら凝ったものを紹介してきた(僕の趣味なので後悔も反省もしてませんしこれからもそうしますが)のですが、これはアーサーCクラークなどを思い出す、きわめて王道なSFで、アイデアもボリューム十分なので誰にでもお勧めできる作品です。 www.hayakawa-online.co.jp