ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン、メカ・サムライ・エンパイア

今回は明日9月17日にシリーズ最終巻が発売される歴史改変SF「ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン」、続編の「メカ・サムライ・エンパイア」を紹介したいと思います。 第2次大戦で枢軸国が勝利した世界、と言えば多分ここにいる人の大半が一度は想像したことがあると思います(?)。このシリーズはアジア系アメリカ人が枢軸国が勝利し世界を支配した世界を描くシリーズです。 アメリカは西側を日本、東側をナチス・ドイツに緩衝地帯を挟んで分割統治されています。 第1作、「ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン」ではサンノゼに原爆が投下されたシーンから物語は始まり、アメリカが勝利した架空の世界を描く違法ゲーム、「USA」の出自に関わっているとされる六浦賀将軍を特高警察の規野と電卓(スマホみたいなもの)ゲームのプレイ履歴から反乱分子をあぶりだす仕事をしている石村大尉が追いかけます。 表紙にでかでかと巨大メカが載っているのにほとんど出てこないので表紙詐欺とか言われますが、サスペンス・ミステリー調でスリリングな展開が次々起きるのでメカが出てこなくても十分に面白いです。ちゃんと終盤ではメカ同士で戦うのでご安心ください。 第2作、「メカ・サムライ・エンパイア」では大人たちの陰謀劇から一転、両親をテロで失った少年がメカ(大日本帝国の最強兵器。ナチスドイツは生物から作った怪獣みたいな兵器を使う。)パイロットを目指す成長物語になります。この作品だけでも楽しめますが、前作から続投する人物が何人かいて、前作を読んでいると意外な因縁がわかるので先に前作を読んでほしいです。 もちろんアメリカを支配する大日本帝国ディストピアなわけですが、このシリーズで好きなのは表面ではすさまじい発展を遂げていることです。第1作の舞台は1988年ですが、大半の病気は治療可能となり、高層ビルの立ち並ぶ街を自動運転車が走り回っています。イメージとしては現在の中国が近い、体制に批判的な人物への弾圧と経済的な発展を併せ持つ世界が広がっています。そして登場人物たちもただ体制に抗おうとしたり盲信したりするのではなく、それぞれが独自の思想や信念を持っており魅力的です。 シリーズ最終巻「サイバー・ショーグン・レボリューション」は明日発売で、多分前2作も同時に書店に並ぶと思うのでぜひ手に取ってみてください。 www.hayakawa-online.co.jp www.hayakawa-online.co.jp www.hayakawa-online.co.jp