BLAME!

今回は「BLAME!」を紹介しようと思います。 最新作人形の国では大分台詞や説明が増えて分かりやすくなり評判のよくなっている弐瓶勉ですが、初期には説明や台詞がほとんどない作風が特徴でした。「BLAME!」はその当時の作風が前面に出ており、ナレーションのようなものは一切なく、主人公もほぼしゃべりません。それでも緻密な絵柄と雰囲気によって多くのファンがいる作品です。 舞台は遠未来、暴走したネットスフィアと呼ばれるシステムによって延々と建造され続ける巨大都市の中で探索者霧亥がネットスフィア正常化の鍵である「ネット端末遺伝子」を探して旅を繰り広げます。 この漫画の魅力は緻密に描かれた広大な都市と作品全体に漂う雰囲気です。 太陽系を飲み込むほどに巨大化している都市ですが、作者は建築に携わっていた経歴を生かし、その都市の巨大さを要所要所で見事に描いています。途中で戦う巨大な敵であっても、人間からしたら巨大というだけで都市の規模の中では何ということはない存在であると見せつけるシーンなど、絵だけなく漫画としても都市の巨大さをうまく表現しています。SFではよく巨大な物体が出てきますが、それが本当に巨大であるということを実感として与えてくれるのは漫画ならではであり、なかなか味わえない体験です。 また都市自体は巨大でありながらも、無作為に建造されるだけで住民はほとんどおらず、残る住民もネット端末遺伝子を持たない存在を排除する防衛機構セーフガードによって壊滅寸前に追い込まれています。そんな世界を旅する霧亥を描いたこの作品には広大かつ虚無で満ちた世界の静謐な雰囲気が漂っています。 霧亥の目的は探索であり、敵を倒しても得られるものはありません。そんな中セーフガードやネットのカオスを維持しようとする独自勢力、珪素生物たちと戦いながら先に進むため、派手なアクションシーンがいくつもありますが、戦いの終わった後や旅をするシーンでは無人の都市を進んでいく寂寥感や静かな雰囲気を存分に堪能できます。特に戦いが終わった後に訪れる静寂はアクションシーンの緊迫感との対比で印象に残ります。 随分古い漫画なので漫画自体はすでに絶版なのですが、B5版に大きくなった新装版BLAME!全六巻が販売されています。またアニメ映画化もされており、こちらは漫画版の電基漁師編をもとに作られたオリジナルのストーリーで、僕は原作の方が好きですが王道でアクションもある映画としてしっかりまとめられており、原作の雰囲気も要所要所で味わえるので是非見ていただきたい一本です。 新装版は結構高くて全部買うと1万円を超えるのですが、絶版された方の電子版は今でも買えるのでそちらもおすすめです。 他にも前日譚NOiSEやスピンオフ、ブラム学園and so onもあるので気になる人はぜひ読んでみてください。 試し読み↓ www.cmoa.jp 映画↓ [http://www.blame.jp/> 新装版↓ kc.kodansha.co.jp 電子書籍↓(電子書籍は全10巻です) https://www.amazon.co.jp/dp/B00C9QK1YI/ref=dp-kindle-redirect?_encoding=UTF8&btkr=1www.amazon.co.jp