時間封鎖

この前TENETというSF映画を見てきました。鬼滅の刃の公開直後だったので人がすごかったです。いろいろわかりにくいシーンも多いのですが、時間をテーマとしたSFの中で、ただ単にタイムトラベルするのではないこれまで見たことのないアイデアが多数詰め込まれていて、個人的には満足度の高い映画でした。 そんなわけで今回はちょっと変わった時間がテーマのSF、「時間封鎖」を紹介したいと思います。 この物語では地球を覆う「界面」のなかで時間を外の世界の1億分の1の速度にされてしまった人類の戦いを描いたSFです。 ある日、空から星が消え、月もなくなります。翌朝上った太陽は世界を照らすものの偽物であることがわかりました。界面の外側の地球周回軌道から帰還した宇宙船の乗組員は突如地球が謎の界面に包まれ、1週間通信が途絶したのち自力で帰還したと証言します。しかし地上での観測では彼らは星が消えた直後に帰還していました。 観測の結果、界面の内側、つまり地球は外の世界に比べ時間の速度が1億分の1になっていることがわかります。突然の出来事に世界は動揺しますが、さらに悪い事実が判明します。外の世界の1億分の1ということは外では1億倍の速度で時間が流れるということ、つまり数十年の間に外では数十億年が経過し、太陽は赤色巨星となって地球を飲み込むのです。 窮地に立たされた人類は事態を打開するため、火星のテラフォーミングを計画します。火星はいまだ界面に覆われておらず、地球から打ち上げたロケットは地球内部から見れば0に等しい時間で火星へ到達し、植民を始めることができます。たとえテラフォーミングに1万年かかるとしても、それは地球時間で1時間程度です。 こうして計画は実行に移されますが… タイムトラベルは古今東西様々な作品で登場しますが、時間が遅くなる、というのはあまり出てこない面白いアイデアだと思います。その異常な世界で持ち上がる計画や人々の反応、テラフォーミング計画の顛末など読みどころの多い作品になっています。 この小説は無限記憶、連環宇宙からなるの3部作の第1作です。第2部以降は読んでいなかったのですが、この紹介のために内容を思い出していたら続きが気になってきたので図書館で探して読もうと思います。 www.amazon.co.jp