ストーカー

早川書房で出版されているSFシリーズ、裏世界ピクニックがアニメ化されましたね。現在火曜夜に放送中です。みんな見てね。 そんなわけで今回は裏世界ピクニックのオマージュ元のロシアのSF小説、「ストーカー」を紹介したいと思います。 ある時何の前触れもなくあらわれ、地球文明と一切の接触をせずに去っていった異星文明は<ゾーン>と呼ばれる何が起こるか一切予測できない謎の地帯を残していきました。ゾーンは厳重に封鎖され、その謎を研究するため国際地球外文化研究所が設立されますが、そこから持ち出される謎の品々を換金するためゾーンに不法侵入し持ち出すストーカーと呼ばれる人々も現れます。 この小説では元研究所の正規ガイドでやがて熟練のストーカーとなったレドリックを主な語り手として、彼のゾーン探索の様や周囲の人間模様を描きます。 物語のどこがいい、というより未知の世界に踏み込む雰囲気を味わう作品です。 何のために作られたのか、そもそも作られたものなのかすらわからないゾーンから持ち出される品々、何が起こるか全くわからないゾーンを手探りで一歩一歩進んでいく感触、ゾーンのすぐ近くの町で暮らす人々の人間模様などが綿密に描かれます。 ゾーンを進む描写はホラーのような雰囲気がありますが、人間のことなど全く意に介さないゾーンと、それにかかわる人々の人間臭い苦悩が独特のコントラストを生んでただのホラーには収まらない作品です。 またロシア語の原題は「路傍のピクニック」といい、宇宙人が立ち寄ってキャンプをしたごみに翻弄される存在に人類をたとえています。この例えも作品の中のゾーンの存在感や人々の心理をうまく表現していて気に入っています。 サバイバルホラーFPSであるS.T.A.L.K.E.Rなど、裏世界ピクニック以外にも様々なゲームや小説に影響を与えた作品ですので、ぜひ一度読んでみてください。

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