ジェリーフィッシュは凍らない

今回はSF風味の混じったミステリ、「ジェリーフィッシュは凍らない」を紹介したいと思います。 中身が真空の気泡のような新素材を使って作られた新型飛行船ジェリーフィッシュ、その開発者であるファイファー教授たち6人は新型ジェリーフィッシュの長距離航行性能確認のための最終試験を行っていました。 しかし飛行中メンバーの一人が変死体で発見され、試験機は雪山に不時着します。脱出不能な状況下、次々犠牲者が生まれていきます。 雪山で不時着した6人のうち一人の一人称で語られるパートと落下したジェリーフィッシュが発見されたのち事件の捜査を進める二人の刑事の視点で語られるパートが交互に進んでいきますが、どちらのパートももう片方のパートの謎を深めていき、終幕ですべての謎がきっちりと解明されるのはやはりミステリの醍醐味でありとても気持ちが良いです。 またジェリーフィッシュについて途中で皆さんが抱くかもしれない疑問もしっかりと一つの伏線になっています。 それと東西冷戦の時代をモデルにした架空のアメリカっぽい国が舞台なのであまり最新の捜査手法が出てこず、少ない手がかりから犯人に迫っていくのも結構好きです。 ミステリとSFを融合させたどことなくレトロな世界で繰り広げられるミステリ、続編も2冊出ていますのでぜひ読んでみてください。

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