星を継ぐ者

今回紹介するのはJ・P・ホーガンのSF小説、「星を継ぐ者」です。 宇宙を舞台としたSFの中ではかなり有名な一作で、日本で漫画化もされています。 SF的なありえない謎、それを確かな知識と推論を駆使して鮮やかに解いていき途方もない真実にたどり着く、科学とフィクションを組み合わせるSFの面白さを体現したような作品ですのでぜひ一度読んでみてください。 物語は月面探査員が深紅の宇宙服を着た謎の人物の遺体を発見するところから始まります。早速各国政府へ問い合わせますが、月面で行方不明になったものは誰もいません。そして地球へと運ばれた遺体はC14法年代測定によって5万年前の遺体であると判明します。 遺体はチャーリー、彼の種族はルナリアンと名付けられ、彼の正体を知るべく世界中の科学者が召集されることになります。 チャーリーの正体という一つの謎はやがて人類の出自、太陽系の過去という壮大な謎へとつながってゆきます。 この物語の面白さは月面で見つかった5万年前の遺体という壮大な謎を一歩一歩確実に解いていくところでしょう。 まず彼の所持品の検査から始まり、彼の持っていた手帳の解読、遺体の検査、彼のそばから見つかった携行食糧の原料である魚の分析など、あらゆる手段を駆使し、様々な分野の専門家が協力して謎を解いていく様は見ていてとても気分が良いです。そしてそれらの謎が示す事実がそれぞれ矛盾し、最終的にすべてが解決する一つのストーリーが描かれていく様は見事というほかありません。 続編が2冊(死後に刊行された上下巻の続編がさらに一つ)あるのですが、タイトルの時点で若干ネタバレになってしまうのでここでいうのは控えます。 そんなわけでSF的ミステリ不朽の名作、ぜひ一度未読の方は読んでみてください。 honto.jp