造物主の掟

さて、時間が空いてしまいましたが二連続でホーガンを紹介したので今回もホーガンの代表作の一つ、「造物主の掟」(ライフメーカーの掟)を紹介しようと思います。 はるか昔、異星人によって作られた採掘用の無人宇宙船は土星のタイタンに着陸し、採掘作業用のロボットを製造し始めます。 しかし宇宙船のプログラムは航行中に浴びた超新星のフレアの影響で狂っており、ロボットは採掘した鉱石を母星に送ることなく自己増殖を繰り返し、やがてその中で淘汰と進化が始まります。 一方21世紀の地球ではタイタンで観測された生命活動の調査のためアメリカとヨーロッパ合同の大規模調査団が派遣されることになりました。 そしてタイタンに到着した人類は進化の果て知性を手に入れた機械生命体、「タロイド」と遭遇することになります。 さて、この小説も発表は1983年と40年近く前の作品ですが、今読んでも十分に面白いのはほかの作品と共通です。 この物語で面白いのは主人公が科学者ではなく自称新霊術師であるザンベンドルフである、という点でしょうか。 この世界においてアメリカは愚民政策を進めており、ザンベンドルフは科学者の学会内部にも多くの支持者を持つほどです。 ザンベンドルフは火星でのESP実験を行うという体で熱角推進の巨大宇宙船オリオン号に乗り込みますが、やがて船の行き先が火星ではなくタイタンであることに気が付きます。 やがてタロイドと遭遇したザンベンドルフらは封建的な社会体制とそれを利用しようとするアメリカ政府との間に立ち、一世一代のペテンを仕掛けることになっていきます。 稀代のペテン師が大博打を打つスリラーとしても、緻密な設定で描かれるファーストコンタクトSFとしても楽しめる作品になっていますのでぜひ読んでみてください。[https://

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