ボーナス・トラック・クロモソーム

柞刈湯葉の紹介は前回で最終回と言いましたがあれは嘘です。 wiredという雑誌に寄稿されたSF短編が無料公開されているので紹介しておきます。 「ボーナス・トラック・クロモソーム」は遺伝子編集による遺伝病の治療が認められ、治療を受けた子供たちが30代ほどになった未来、人間に新しい染色体を導入する、という計画に対して遺伝子工学の研究者が自身の思いを語っていく短編です。 とぼけているような、真面目に話しているような語り口で淡々と遺伝子編集と自己決定権、新しい遺伝子を持つ人間とそうでない人間の格差、といったものを論じていきます。僕の考え方とは若干違う部分もありますが、巧みな文章構成、否定にも肯定にもよりすぎない結論など、読んでいて見事なまとまり方です。「ボーナス・トラック」というネーミングも、本編を読めば素晴らしいネーミングセンスだと思うでしょう。無料で5分くらいで読めると思うので是非どうぞ。 wired.jp