スノウ・クラッシュ

週末に某ゲームプレイする時間一切取れませんでしたね。 まあ今回も前回に引き続きサイバーパンクの傑作、「スノウ・クラッシュ」を紹介したいと思います。 舞台は近未来アメリカ、国家の権威は失墜し、企業が経営する都市国家がパッチワークのように入り乱れています。 主人公はピザの配達人、ヒロ・プロタゴニスト、高速道路をスケートボードで走り回る特急便屋の少女、Y・Tの二人。 ヒロ・プロタゴニストが仮想世界「メタ・ヴァース」でスノウ・クラッシュと呼ばれる新種のドラッグを試してしてみないかと誘われるところから、彼ら二人は巨大な陰謀に巻き込まれていくことになります。 やはりこの作品も特筆すべきはサイバーパンクの特徴ともいえる圧倒的な情報量でしょう。ハードカバーで約400ページ、文庫本では上巻だけで同程度のページ数があります(上下2巻)。 正直なところこの世界でのインターネット、メタヴァースの描写は昨今では時代遅れに写ってしまいますが(コンピュータやインターネットについて現実が追い越してしまったのがサイバーパンク衰退の一つの原因と言われます)、出版されたのが1992年ですから十分に驚異的です。 様々な主義主張に合わせて作られるフランチャイズ経営の国家の合間を駆け巡るヒロとY・Tが出会う人物や扱うガジェットも様々で、車に向けて発射し速度をもらうプーン、全身を保存槽に沈めながら保存槽ごと巨大なトラックで移動する男、RTGを動力とする携帯式レールガンなどなど一つでも面白いガジェットが山ほど出てきますし、それぞれ綿密な描写をされるので読んでいてとても楽しいです。 さて、彼らは冒険の果て、アメリカ軍解体の際競売にかけられ個人所有となった原子力空母、エンタープライズにたどり着きます。 スノウ・クラッシュとは何なのか、めくるめくすさまじい密度で展開される物語を楽しみながら追ってみてください。

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