虚ろなる10月の夜に

ハロウィンオカルト小説紹介第2弾として今日は「虚ろなる10月の夜に」を紹介したいと思います。 19世紀イギリスの有名な物語の登場人物たち、切り裂きジャックや吸血鬼、フランケンシュタイン博士、シャーロックホームズたちがハロウィンの夜に行われるクトゥルフの神々の復活をめぐるゲームに挑むオカルト小説です。 10月の終わりに行われる旧き神々を崇拝する者たちと復活を阻止しようとする者たちの2陣営に分かれ繰り広げられる儀式を前に、切り裂きジャックは使い魔の犬スナッフとともに古い村に訪れます。 物語は使い魔スナッフの視点で展開され、村に着いた10月1日から各自が儀式の準備を進めていく中で各参加者たちが互いにどちらの陣営なのか探り合い、注意深く情報を交換していくさまが1日ずつ描かれていきます。 儀式のための準備はそれぞれ独特で、切り裂きジャックは独自の魔術のために様々な素材を集めていき、ほかの人物たちもいけにえを捧げるなど独自の準備を進めていきます。 この作品の読みどころは様々な小説の登場人物たちがわき役ながらもしっかりと出番があるところでしょうか。シャーロック・ホームズなどは本人の名前は出てこず、ただ探偵とだけ呼ばれゲームの参加者でもありませんが要所要所で現れ重要な役を演じるので出番が少ないのにも関わらず存在感が絶大です。ドラキュラ伯爵やフランケンシュタイン博士たちもゲームの中でそれぞれ独自の思惑で動き、切り裂きジャックと交わっていきます。 また、ファンタジーものでありながら、どこか地に足の着いた描写も独特で好みです。ゲームが実際に行われる10月31日まで互いに直接戦闘することはほとんどありませんし、ゲームそのものも魔術のぶつけ合い出会って直接殺しあうわけではなく、ルールにのっとって粛々と進められていきます。彼らの使う魔術もそれぞれ独特で描写を読んでいるだけで面白いです。 www.takeshobo.co.jp https://www.amazon.co.jp/dp/B077T66G8T/ref=dp-kindle-redirect?_encoding=UTF8&btkr=1