2024-02-17から1日間の記事一覧

鋼鉄の犬

ソフトバンクがボストンダイナミクスを売りに出すとかいう話がされていますが、今回はボストンダイナミクスの犬型ロボットが活躍する戦争小説、鋼鉄の犬を紹介しようと思います。 舞台は内線の真っ只中の砂漠の国。主人公アルは元アメリカ軍で軍用犬のハンド…

無限記憶

この前紹介した「時間封鎖」の続編、「無限記憶」を読んだので今回はそれを紹介したいと思います。 物語は前作「時間封鎖」から数十年後が舞台です。時間封鎖の最後では地球を覆う時間封鎖は解除され、その代わりにインド洋に未知の世界とつながる巨大なアー…

2020年米朝核戦争

大統領選挙も接戦なので、今回は「2020年米朝核戦争」を紹介したいと思います。 文字通り2020年、間違って北朝鮮領内に入った韓国の旅客機が撃墜された事件が引き金となって勃発したアメリカと北朝鮮の核戦争の行く末を描いた小説で、スリラー小説などでよく…

虚ろなる10月の夜に

ハロウィンオカルト小説紹介第2弾として今日は「虚ろなる10月の夜に」を紹介したいと思います。 19世紀イギリスの有名な物語の登場人物たち、切り裂きジャックや吸血鬼、フランケンシュタイン博士、シャーロックホームズたちがハロウィンの夜に行われる…

幽霊狩人カーナッキの事件簿

そんなわけで今回はSFではなくオカルト系フィクション、「幽霊狩人カーナッキの事件簿」を紹介したいと思います。 出版は1914年と100年以上前の本ですが訳が読みやすいので今でも普通に面白く読めます。 物語の主人公、カーナッキは心霊現象の解決を専門にし…

なつのロケット

今回は漫画「なつのロケット」を紹介したいと思います。 この漫画の作者は「まんがサイエンス」シリーズの作者でインターステラテクノロジーズにも協力している漫画家あさりよしとおです。MOMOに描いてあるキャラクターの絵を描いている人ですね。 「まんが…

時間封鎖

この前TENETというSF映画を見てきました。鬼滅の刃の公開直後だったので人がすごかったです。いろいろわかりにくいシーンも多いのですが、時間をテーマとしたSFの中で、ただ単にタイムトラベルするのではないこれまで見たことのないアイデアが多数詰め込まれ…

寄港地のない船

昔から読むつもりで読んでなかった本が新訳版になって本屋で売られていたので今回は思わず買って読んだ「寄港地のない船」を紹介したいと思います。 以前この作者の書いた地球の長い午後を紹介しましたが、今回紹介する寄港地のない船はこの作者の初めて発表…

Self Reference ENGINE

ネットフリックスが新しいゴジラのアニメシリーズを作るそうで、今回はその脚本家に選ばれた芥川賞受賞のSF作家、円城塔の「Self Reference ENGINE」を紹介したいと思います。 とはいえ僕はこの小説が何を言っているのか正直よくわかっていないのですけれど…

BLAME!

今回は「BLAME!」を紹介しようと思います。 最新作人形の国では大分台詞や説明が増えて分かりやすくなり評判のよくなっている弐瓶勉ですが、初期には説明や台詞がほとんどない作風が特徴でした。「BLAME!」はその当時の作風が前面に出ており、ナレーションの…

ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン、メカ・サムライ・エンパイア

今回は明日9月17日にシリーズ最終巻が発売される歴史改変SF「ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン」、続編の「メカ・サムライ・エンパイア」を紹介したいと思います。 第2次大戦で枢軸国が勝利した世界、と言えば多分ここにいる人の大半が一度は想像した…

バビロニア・ウェーブ

今回は最近紹介が減ってきた宇宙物のSFを紹介したいと思います。 「バビロニア・ウェーブ」は太陽系のそばに発見された強力なレーザー光束、バビロニア・ウェーブをめぐるハードSFです。 深宇宙探査機の連絡から太陽系から3光日の位置にバビロニア・ウェー…

ドローンスクランブル、推定脅威、リヴィジョンA

さっきちょっと話題になったので航空業界を描いたミステリ、「ドローンスクランブル」、「推定脅威」、「リヴィジョンA」を紹介しようと思います。 「ドローンスクランブル」では在原という技術者がいち早く立ち上げたドローンのベンチャー企業、「リモート…

ディアスポラ

今回はイーガンの長編の中で僕が一番好きな、「ディアスポラ」を紹介したいと思います。 舞台は25世紀、人類はいまだ肉体を持つ肉体人、電脳世界ポリスに移住した市民、ロボットに宿るグレイズナーの3種に分かれていました。あまたあるポリスの一つ、コニシ…

ウェイプスウィード ヨルの惑星

今回は雰囲気を変えて「ウェイプスウィード ヨルの惑星」を紹介したいと思います。 もともとは年間日本SF傑作選という毎年刊行される短編集(最近辞めてしまったみたいですが)に収録されていたウェイプスウィードという短編を連作短編の形で長編化したもの…

白熱光

今回は前回名前だけ出てきたグレッグ・イーガンのSF,「白熱光」を紹介したいと思います。 イーガンは数学の博士号を持っている作家で数学や物理学の知識を駆使した独自設定の世界を展開することで有名です。この白熱光も例にもれず高重力の星を回る星での物…

ビット・プレイヤー

ビット・プレイヤー自体は好きな短編集なのですが、なぜか不気味の谷だけ内容が記憶から抜け落ちているので他の短編メインで紹介していきます(つまらない短編があった記憶はないので多分面白いと思います)。 一つ目の短編、七色覚は人工網膜を埋め込んだ少…

トランスヒューマンガンマ線バースト童話集

今回はおとぎ話をSFに換骨奪胎した短編集、「トランスヒューマンガンマ線バースト童話集」を紹介したいと思います。 仮想世界で暮らすのが当たり前の世界で珍しく肉体で暮らす少女シンデレラが継母に肉体の管理権を奪われ死にかけた時、魔女を名乗る人物が…

リリエンタールの末裔

とりあえず今回は夏らしくさわやかな短編が含まれる短編集、「リリエンタールの末裔」を紹介したいと思います。 表題作リリエンタールの末裔の舞台は陸上の大半が海に沈んだ未来。作者上田早夕里の代表作の長編、「華竜の宮」、「深紅の碑文」や他の短編集に…

生まれ変わり

「生まれ変わり」は純文学の書き手でもあるアメリカの中国人SF作家、ケン・リュウのSF短編集です。 同じく彼の短編集、紙の動物園はSFや純文学、ファンタジーなど様々な要素が読める短編集ですのでまた紹介するかもしれないです。 まずは表題作、「生まれ変…

黒暗森林

この前紹介した「三体」の続編、「黒暗森林」をやっと読んだので今回はこれを紹介しようと思います。 前作「三体」で三体世界からの侵略に曝されることが分かった地球。三体世界からの侵略艦隊は4光年を400年かけて進んできます。しかし先んじて三体人が送り…

ヒト夜の永い夢

今回は一風変わった歴史改変SF,「ヒト夜の永い夢」を紹介したいと思います。 舞台は昭和初め、博物学者南方熊楠のもとへ超心理学者福来友吉が訪れます。彼に誘われ参加したのは昭和考幽学会というあらゆる物事について考え討論する奇妙な学会でした。 そこで…

地球の長い午後

今回は変わり果てた地球を旅する遠未来SF,「地球の長い午後」を紹介したいと思います。 遥かな未来、地球の自転はついに止まり、永遠の昼と永遠の夜に分かれていました。 動物が繁栄した時代は終わり、永遠の太陽のもとで大陸全てを覆いつくしたベンガルボダ…

インテグラル・ツリー

今回は無重力世界を舞台にしたSF、ラリー・ニーヴンの「インテグラル・ツリー」を紹介しようと思います。 物語の舞台は中性子星レボイの周辺をトーラス上に回転する呼吸可能なガスの塊です。このトーラスの中心付近はガスの濃度が濃く、生命が生存可能ですが…

アメリカン・プリズン

今回はついでにアメリカでの民営刑務所の実態を描いたノンフィクション、「アメリカン・プリズン」を紹介したいと思います。 日本でも民営化によるコストカットは時々選挙の争点になりますが、アメリカでは刑務所の一部が民間企業により運営されています。民…

火星無期懲役

今回は久しぶりの現実より宇宙SF,「火星無期懲役」を紹介しようと思います。 主人公フランクリン・キッドリッチは麻薬漬けの息子を救うために麻薬の売人を殺して収監された殺人犯で懲役120年を宣告されました(アメリカだと罪は加算方式で刑期が伸びていくの…

銀河ヒッチハイクガイド

いつも真面目な小説ばかり紹介しているので今回はギャグ小説、「銀河ヒッチハイクガイド」を紹介しましょう。 googleで「宇宙・人生・すべての答え」と聞くと多分「42」と答えてくれると思いますが、その元ネタになったSF小説です。 ギャグ小説と書きました…

クラーケン

今回はSFというよりかはファンタジー味の強い小説、「クラーケン」を紹介しようと思います。 ロンドンの自然史博物館でキュレーターを務めるビリー・ハロウはある日、大人気の展示物であるダイオウイカの標本が水槽ごと消えているのを目にします。いぶかしが…

人体冷凍 不死販売財団の恐怖

久しぶりのノンフィクションのコーナーです。今回紹介するのは「人体冷凍 不死販売財団の恐怖」です。 アメリカでは死後に人体を冷凍し将来復活することにかけるという活動があるのを知っているでしょうか?人体を冷凍するときに体内の水が細胞膜を突き破る…

第六ポンプ

今回はパオロ・バチガルピの短編集、「第六ポンプ」を紹介したいと思います。 表題作、「第六ポンプ」は出生率が低下し痴呆化が進行したニューヨークが舞台。まともな会話が成り立つかも怪しくなってしまった住人たちの中で、比較的まともな下水ポンプ施設の…